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バチッ
バチバチバチバチバチッ
ザララララ ザザア ザアザア ザア
バチン
それは幕引きの雨の音
「わずかな境界線をまもるためにどれだけの人間が死んだことだろう」
(私、は?)
雨は地を潤す
世界は雨を待っていた
たくさんの人が世界を守るために
たくさんの人が自分の世界を守るために
空にある太陽を
熱くてやけどするから、と
眩しくて目がつぶれるから、と
頭上にあって煩わしいから、と
こぞって引きずりおろす
雨が地上をうつ前に
太陽はすでに転がり落ち這いつくばり照ることを停止していた
後から来た雨を一身に受ける
まだ熱の残る身に大地に引き寄せられた雨たちが
消えろ
消えろ
と
ひとしずく ふたしずく
後はただ折り重なって
美しく響く連鎖音
幕引き
(私はただ見ていた)
聞こえた音はただの雨音
ただの、
ああ、落ちたな
(アレは なんだったのだろう)
血が出たな
(なんだったのだろう)
もう、動かないんだな
(なんだったのだろう)
(太陽だったのだろう)
ともかく、解放されたのだ
落とした太陽に群がるひとびとに背を向け
背の高い黒い影が
最初に太陽を引きずりおろしたであろう ひとしずくを
ポツリと拾い上げる
赤く染められている
(太陽に触れたから赤いのだろう)
まぶしい太陽はただの塊となった
照らなければ恐れを抱くことも崇めることもない
風が埃を舞い上げ ひぅ とふいた
影は何気なくそのひとしずくをポケットにしまい込み
乾いた表情をたたえ
いずこかへ消え去った
太陽を失った世界に残るは夜ばかり
美しい太陽より安寧の闇夜を人が望む
人の作り出すまがい物の灯りに温められ
日々は紡がれる
美しいような哀しいような愛しいような夜は続く
赤い血と撃ち落された子どもと撃ち落した大人達は誰もがすぐに忘れて行った
彼のポケットの中にだけホントの事が詰まってる
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