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あの子が笑ってた。
笑って、灰色の背を見送った。
怖いこといっぱいあったのに、また会いたくなって箱に明かりを灯しても、その明かりの中君は消えてた。
声がした。
あの子と同じ声がした。振り向いて、いいかな?
色とりどり、赤青黄色、そして黒、が乱舞する中君がいた。
お帰りお帰り楽しいね、でもやっぱり怖いんだね君、って言ったら姿を消してさ。
どこにもいない。
メロディが奏でられる。
軽快な軽薄な。懐かしいようで聞いたこともないような。
知ってる、嘘吐き、また居なくなるんだろ?
知らない子だと思った、でも惹かれた。姿かたちにじゃなくて、今ここに来てくれた君に。
信じないよ怖くないよ、もう。だって怖いことから守ってくれたから。
胸のすくような活劇のあと、はらり、また消えて。 戻ってくるんだろ?ねえ君。
じとり。
闇につかまったままなんだ。
君のことなんか忘れてさ。日々の闇に包まれてさ。
見えてるようで何も見えなくなってた。
辺りを包む透明な闇に目を凝らして怖くなって泣いてたら、ずっと前から居たように君。
闇は、そうか、必要なものだったね、って君と笑った。
もう大丈夫だね、君が言葉を漏らし、そのまま姿を見失った。
「あ」
そこに居るし、消えない。
名前をつけられた闇は、音が響く限り闊歩し、光がなくとも形を保つ。
それはただの音で、それはただの存在で、受け継がれる物語で、闇と光の間をつむいで。
ブラウン管が珍しくなってきた頃戻って来いとうなるひとびとのこえ。
五人目の産声を聞くこととなる。
「鬼太郎」 漏れた声が名前を告げる。
目を閉じてできた闇に君が居る。
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