戻れないよ　帰れないよ



ツンと伸ばした　つま先と

背骨　肩　腕　ゆび先で

届く限りの円を描く

それが僕の動かせる世界

僕は呼ばれるばかりで

それが僕の役割で

存在で

たくさんの人に知られていて

気がついた


空はシカクに切り取られ

その向こうから僕は覗かれているんだ


嫌だなちょっと恥ずかしいよ

（どうせならこちらへおいで）


それはなんだか言ってはいけない言葉の気がした

覗いているのは子ども達だ

闇夜におびえる子ども達だ

シカクの向こうでどんな姿を纏っていたって

僕に向けられる視線からは子どもの気配

僕はこんな形だけど君達よりずいぶん大人なんだぜ

だからさ

秘密は秘密のままにしておけるのさ

言わない事を選んだ言葉も抱えて生きていけるのさ


こちらで僕は泣き怒り笑い微笑んで君達を

そちらにいるまま楽しませてあげる

仲間に入りたいと思ったら

その時にはもう入っているのさ

闇夜が怖くて僕を思い出したらそこにいるのさ

呼んでくれ


僕には記憶がある

産み落とされる前の

父の血母の胎内それではなく僕をこの世で象った人のその先

闇夜、歴史　への　畏れ、敬い

きっと僕はここに来る前から在ったんだ

君達に知られる前から僕はいた

そしてどこにもいない　今も

触れられないだろう？見たことないだろう？いないとはそういうことで

けれど呼ばれていたんだ

怖い助けて　呼び名をつけろ　僕を呼べ

消されても消されても姿形が変わっても名前を変えられても

僕を呼べ

飛んでいく駆けていく現れる　君を助ける


これから先

君達がいなくなったら

僕は消えるよ　いや戻るんだ

暗闇の中で聞こえる呼吸

それが僕


シカクの向こうの君達に