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こんなぼやけた月の夜は
思い出さなくていいこと思い出しちまう
どんなに上手に酔っ払っても
薄く雲からもれるあの月明かり
向こうで オレ様のこと笑ってやがる
クソ、面白くねえな
春の宵風に当てられて
心地よいくせに 寒くて仕方ない
なあ お月さんよぉ
どうせ見透かすなら、あの日に戻してくんねぇかい?
笑われてもいい
なっ、
そしたら許してやれるんだぜ、俺だって
天涯孤独と謳って突っぱねた俺にだって
あったかい嘘に騙されて馬鹿を見た
あの日に
ああ、咽喉がイテェよ
知らぬ間に弱虫になってた
気がついちまった
怖いと知らなかった
突っぱねていたかった
突っぱねていれば
「ゲホン、ゲホン」
「どうしたねずみ男」
「デリケートな俺だ 風邪に決まってんだろ?」
「おや、馬鹿は風邪をひかないというが…」
「父さん、本当かもしれないじゃないですか 馬鹿でも風邪をひきますよ」
「お前ら親子そろって失礼な奴だな おりゃ帰るよ」
体が正直で、正直嫌になる
胸の奥 イガイガしたもの 全部表に出しちまって
バタンキュウ 本当、風邪かな、ダリぃ
薄くてカビ臭えセンベイ布団でごろり 俺らしい居場所
来るな、来るなよ
こんな日にこられたらたまんねぇ
女々しいこと全部吐き出しそうだ 来るなよ、鬼太郎 来る訳ねぇよな
俺がおめぇんとこいくのはな、こういうとこ見られたくねぇからなんだ
そしたら、おりゃいつだって
おめぇだましたり 煙たがられたり 飯食ったり 冗談づくで笑ったり できるからな
血もつながらねえ妖怪同士 だからお前とつるんでられる
弱くて 守れるものなんかなくて
だから一人でふらふらできて
腐れ縁
長げぇ付き合い
分かってくれてる鬼太ちゃんは
来ない来ないありがたい
だれ彼にも疎まれてりゃ もう疎ましいなんて思う奴いねえからな
それでも、
それでも嬉しかったんだぜぇ
俺らしくもなく 働くことが楽しいなんて言い出して
頼られて 本気で応えてやりたくて
美しい姉ちゃんでもねえ
なのに
な、
いいよな、血のつながりって
俺そっくりの俺よりどうしようもねえ奴
狭い部屋 もっと狭くしやがって
鬼太郎、お前の親父がうらやましいぜ コンパクト、はは
狭くってねえ どこに寝るんだーって もっと端っこ行け や、やっぱ俺が行く
旅してきて疲れてるんだろ?
わかるぜ、俺とそっくりな顔しやがって どこいったって上手くやっていけねえ顔だ
でも、もう大丈夫だ
兄ちゃんがついてる
ははは
夢を見たってやつかい?
らしくもねぇ 夢を見た罰かい?
くっついてくる春の月を振り切って逃げ込んだ
弱くてずるい俺
孤独でいることでお前らと対等でいられた俺
だから
孤独が怖いなんて、ついぞ気がつかなくて
気がつかされちゃ 困るんだよ
気がつかされて たまんねえ
明日も生きてかなきゃいけねえのに
どうやって飲みこめってんだ
薄くもれる月明かりは
程好く俺の影を曖昧にするから
弱った体に酒でも入れて 俺の居場所に引きこもる理由を作る
そうでもしないと吐き出しそうだ
騙すんなら
最後まで
騙せって
うっかりボロが出るトコだけは
俺と似てたな
気がつかれちゃあ困るんだ
来るなよ、鬼太郎
ここは俺の場所だ
差し込む月明かりが薄く笑う
薄笑いにバカにされ
分かってくれてるねぇ
ありがてぇねぇ
情けかけられちゃ もうどこにも行けねぇんだ 俺
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